憎らしいくらいに晴れ渡った、雲ひとつない青い空。

光の反射で目が痛くなるくらいキラキラと輝く波。

日焼け止めを塗ったにも関わらず、ジリジリと肌を焼く直射日光。


鼻を突くカルキの匂いと、規則正しいリズムで鳴る笛の音。


あたしは目の前の光景を見つめながら、ため息をついた。

 
「碧(アオイ)。何ため息ついてんの?もうすぐ碧の番だよ」


後ろに並んでいる千亜希に肩を叩かれ、あたしは渋々前へと進んだ。


プールサイドで市川先生が吹く笛が順調にあたしを前へと導き、ついにはあたしの身体が飛沫をあげて冷たい水の中に落ちる。


「さむっ……」

腕を抱えて身震いすると、市川先生があたしの方を見た。

そして、笛を吹く。


あたしは覚悟を決めて顔を水につけると、渾身の力を込めて背後にあるプールの壁を蹴り出した――