優陽と出会ってまだ一日目。




もう何日も一緒にいているかのような感覚。




秋斗に頼まれた体育で破けたズボンを受け取り、今から縫うことにした。




 正直ズボンのこと忘れかけてた……。




きっと秋斗はすっかり忘れていただろう。




気づくとズボンは床に落ちていたんだから。




優陽に夢中で、それどころじゃなくなったんだと思う。




 てかそりゃあそれどころじゃなくなるよね、妖怪なんか見たらさ……。




秋斗は優陽に「まだこの家にいる?」と聞き、優陽が「しばらくいるつもりだ」と答えると秋斗は安心したかのような表情で、「宿題あるからしてくる!」と言って自分の部屋に戻っていった。




秋斗は宿題をしてまた優陽とゆっくり話そうと思っているのだろう。




私はお裁縫箱を用意し、自分の勉強机で秋斗のズボンをまじまじと見る。




破れていたのは、膝の部分。




 滑り込みでもしたのかな?




私は破れている場所をしっかりと縫い合わせていく。




「裁縫得意なんだな」




優陽が縫っているところを見ながらそう言った。




「得意っていうか、何回もしてたら慣れるんだ。秋斗、よくどこか破って帰ってくること多いから」




「ははっ」と笑いをこぼしながら言う私。




「そうか」




「そう、秋斗ったらね、前も膝のとこ破いて帰ってきたの。どんだけ転んでんだって話ー……」




私は話しながらあることに気づき、話を途中で止めた。