「ありがとう、秋斗……。私の方が、ありがとうだよ……」


「じゃあ、お互いありがとうだね」


秋斗は私の顔を見て、ニコッと笑う。


「うん、そうだね……」


私は泣いたままだったけど、秋斗に頷きながら笑みを見せた。


秋斗の笑った顔を見て、より安心してしまった。


嬉しかった。


私に、笑ってくれたことが。


「これからは、ねーちゃんひとりで抱えなくていいよ。なんでも言っていいよ。オレ、大丈夫だから。オレもう小5だし!おっきぃんだぜ!!」


「……ふっ、そうだね、ちゃんと言うよ。なんでも、聞いてくれる?」


「どんとこいじゃん!!」


秋斗は自分の胸をグーで叩いた。


「あははっ、なにそれ」


私はまだ目に涙が残りながらも、久しぶりに、秋斗に心の底から笑った顔を見せれた気がする。


 そうだ。


 これからは、ちゃんと本当のことを伝えていこう。


 秋斗と、またこうやって笑い合いたいから。


「秋斗も、なんでも言ってね。私、なんでも聞くから。」


「なんでも聞いてくれる?」


 あ、さっきの私の質問と同じ。


「どんとこいじゃん!!」


私も、さっきの秋斗と同じように、自分の胸をグーでドンッと叩いた。


それを見た秋斗は、二カッと歯を出して笑った。


さっきまで暗い雰囲気だったのが、秋斗のおかげですごく明るい雰囲気になった。


 ありがとう、秋斗。


「帰ろっか。」


私と秋斗は、この日手をつないで帰った。


私と秋斗の距離は、一気に縮まった気がした。