「ごめんっ……ごめんね秋斗っ……!ずっと本当のこと言えなくて……ずっと隠してて本当にごめんなさい……っ。あの男の子たちにも、「お父さんは帰ってくる」なんて言ったのだって、ただの私の願いだった……。嘘ばかりついててごめんね、ずっと、傷つけてきてごめん、秋斗……。許してくれなんて、思ってないから……。」


私の目からは涙が溢れてくる。

いろんな思いが混じっていた。


「オレ、ねーちゃんのことうらんでない。ねーちゃんがいつも隣にいてくれてうれしかった。だから、ありがとう。」


 秋斗は、どうして私が守ってたなんて思ったんだろう。


 「偽善者だ」


 って言われても、おかしくないのに。


 私は、ずっと自分を嘘つき呼ばわりしてた。


 情けなくて、姉失格だって思ってた。


 なのに、「ありがとう」なんて言われると、すごく変な感じ。


 なのにすごく……あたたかい気持ちになる。


 心のどこかで、ほっとしてしまう。


 安心感が湧いてくる。


 「ありがとう」は、私が言わなきゃいけない言葉なの。