妖狐と私




 ずっと無表情だったのに、急に笑った顔見せられたらなんだか動揺しちゃう……。




「お前は?」


「へ?」


「名前。」


「あ!私はっ、ひなたあおい!」


「字、なんて書くんだ?」


「えっと、「向かう」に日にちの「日」で「向日」。「あおい」は……えっと、こう書くのっ!」




私はまた、自分の手のひらに漢字を示すようになぞってみせる。




「「葵」って書くの」




そう言うと優陽は、少し間を置くと口を開いた。




「え、「ひまわり」じゃねーか。」


「え、あ……うん。まとめるとそう読めるよね」


「向日葵……そのまま読むと「ひまわり」。すげぇななんか。」


「……じ、実は私……密かに自分の名前、気に入ってるというか……」


「うん、綺麗な名前だな。」


「……っ!」




また優陽は、私に笑みを見せた。




 「綺麗な名前」……。


 そんなこと、初めて言われた。


 よくみんなに、「ひまわりひまわり」って呼ばれることはあったけど……そんな褒め方してもらえるのは……初めて。




「ありがと……」




なんだか顔が熱くなってきた。


今度はきっと、私の顔が赤くなっていたと思う。


不思議な狐の妖怪さん。


あなたのこと、もっと知りたい。