「夢かも。」
「夢でもない。」
即答で返してくる妖怪。
「幻かも。」
「幻でもない。」
……。
「……触れるの?」
「ん。」
妖怪は私に手を差し出してきた。
……待って。
これで触れたらどうすれば……?
私は妖怪と出会った現実を受け止めなきゃいけなくなるじゃん……。
「早く確かめれば?さっきも触れたから俺がお前の腕持ってここまで運んでこれたわけだけど。」
そうだ……!!
私さっき腕持たれて……
ええいもうっ!!
どうにでもなれっ!!
ぎゅうっ
私は差し出された手を思いっきり握った。
「……」
触れてしまった……。
「な?言っただろ?」
無表情でそう言った彼を私はしばらく見つめ、肩をがっくりと落とした。
この日私は、とんでもない者と出逢ってしまったのだ。


