「なんか今すげぇ現実から遠ざかっていってるだろ。」
「あんたの存在自体が現実では受け止められないんですけど!!」
「どうせ、「私死んじゃって変な世界に来ちゃったのかも」とか思ってんだろ。」
「……そ、それ以外何があるっていうのよ……。」
「お前がここから落ちた時、俺はお前の腕を掴んで死にそうなのを阻止したんだ。だからお前は生きてる。」
「そっ……それが信じられないんでしょ!?って、いうか!あんたが私を突き落としたんじゃない!」
「お前が死ぬって決意したから俺が手伝ってやったんだろ。」
「手伝わなくていいし!」
「なんでだよ?」
「自分で決めたことは自分で実行するの!」
「でもお前、あのキーキーうるさい奴らに命令されてここまで連れてこられたんだろ?」
「そ、それはそうだけど……。で、でも、自分自身でも……生きてる意味ないなーって……思ったし……」
「ふーん。本当に死にたいんなら、どんな死に方でもいいんじゃねぇの?」
「え、いやでも……。」
「いいか。本当に「死にたい」なんて思ってたら、迷いなんてない。「怖い」なんて思わない。だけどお前は、死ぬことに恐怖を感じ、「いやだ」と叫んだ。それは本当に、「死」を望んだのか?「いやだ」って言ったのは、まだ「生きたい」ってことじゃないのか?」
「……」
「あの時のお前は、俺の手がなくてもきっと飛び降りていた。だけどよく考えてみろ。もしも俺がいなかったら、あのまま自分で飛び降りてから途中で「怖い」「いやだ」って気づいても、もう遅かったんだ。」
……ぞくっ。
「あ……」
「簡単に「死のう」なんて思うなよ。何があったかはあんま知らねぇけど、お前は生きてんだ。生きてる限り、なんでもできるだろ。だから諦めるなよ。」
「……う、ん。」


