お母さんの涙を見たのは、その時が初めてだった。 「お母さん……」 私はお母さんのことをそっと抱きしめる。 「お母さん、私、お母さんのこと支えるから。私はお母さんのこと、絶対捨てたりなんかしないから……。だから、大丈夫……。」 私がしっかりしなきゃ。 お母さんが今一番苦しいんだ。 私まで落ち込んでちゃダメだ。 「……ありがとう。」 お母さんの悲しい声が、真実味を味わわせた。