妖狐と私




「……はっ……はぁ……。」




息切れがすごい。


心臓が飛び出そうなくらいドクドクいってて、足に力が入らない。


周りを見渡すと、私は屋上の真ん中にいた。


そして柵のところには、柵の外を見下ろしている香奈たち。




 ……え、待って。


 止まっ……てる?




柵の外を見下ろした女子たちが、時間が止まっているかのように全然動かない。




「ああ、時間、止めたんだよ。」




バッと声のする方に顔を向けると、さっきの男が私の前に立っていた。




「……止めた?」




 本当に、時間が止まっているっていうの?




「こんなこと、俺には朝飯前だけど?」


「……」




 理解ができない。


 頭がついていかない。


 いったい、どういうこと……?