私は柵から手を離せなかった。
だって離したら、いつ落ちるかわからないから。
風が強い。
「柵持つなよ~早く落ちろ~!」
香奈が私の柵を持つ手を引きはがそうとする。
「い、いやだ……」
抵抗する私。
全身が震える。
……どうしたらいいの……。
え、でも待って。
ここから落ちたら、もうツラい思いしなくてすむんじゃ……?
家にいても、お母さんの八つ当たりを受けて耐える毎日。
安らげる日なんてない。
学校でいじめられるようにもなって、こんなにつらい思いして……
もう限界。
味方なんていないのに
私のことを大切にしてくれる人なんていないのに
生きてて何か意味があるの?
私に、幸せなんてないのに
いいことなんて、ひとつもないのに
このまま生きていても、ただ苦しい日々が続くだけなんじゃないの?
だったらこのまま手を離して
ここから落ちてしまえば……
楽になれる?


