タクトは俺を冷静にさせた。
 はずだった。

(希乃来は俺だけに頼ってきたんだ……)

 既に冷えきっていた思考は、タクトには、止められなかった。
 どんどん温度は下がっていく。
 
 手段を選ばなければ、簡単に手にはいる、俺は、そんなことさえ思っていた。


















 タクトは、冷酷な薄い笑みを浮かべる俺を、横で黙ってみていた。