翌日は朝から日が照り、汗がじわりと滲む七月に突入。
 掲示板に大々的に貼られた成績表は、テストが終わってまだ一週間という短さだった。

「あ、俺一位」
「もう、驚きもしないのね」

 朝も私は梨乃を迎えに行き、四六時中べったりなきがする。

「なんか、やけを起こしたような点数の取り方してる」

「満点……ふっ」と、鼻で笑う彼女に対抗するでもなしに、何の所為もなく横から抱き締めた。

「どうした?」
「……」
「とりあえず、教室に行こうか。視線痛いし」

 私は慣れた視線も、梨乃からするなら隣にいるだけで既に非日常なのかもしれない。
 それなのに、急に現れ、私を受け入れる魂胆が未だ分からないでいる。
 始めなんか、私を罵倒してたような記憶も無きにしもあらず。

 それでも素でいられるこの安心感を手放したくない、そんな一心だけが梨乃と無理矢理関わらせる理由だった。
 回す手に自然と力が入る。

「希乃来くーん」
「君……じゃない」
「なら、ちゃん?」
「やめろ」
「はいはい、呼び捨てで呼んでほしいんでしょ」
「……」
「肝心なところは黙るんだから」

 それから梨乃は、足りない身長を背伸びして私の頭をくしゃくしゃに撫で回した。
 そして気付いた。

(溺愛……のうようだな)