そうして助けてもらった日以来、今まで以上に先輩のことが気になって、今まで以上に見つめるようになっていた。
そんなことを友達に話せば、「告白してみなよ」とか「連絡先聞いたりしなよ」とか、結構言われたりしたけれど、自分から積極的になにかをするタイプじゃない私はもちろんそんなことできなくて、ただ見つめるだけの日々が続いた。
そんな毎日がだらだらと続いた頃、やってきたのはバレンタイン。
女の子から好きな男の子にチョコを渡すっていう、ちょっと盛り上がるイベント。
チョコは作るのも食べるのも好きだし毎年作っていたんだけど、それはいわゆる友チョコっていうやつで、生まれてから一度もお父さん以外の男の人になんてチョコをあげたことなんてなかった。
「もうだいぶ経つし、告白できなくてもチョコだけ渡してみたら?」
……男の子にチョコなんてあげたことなかったけど。
確かに先輩を好きになってからもう半年以上は経っているし、あの時のお礼もちゃんとできていなかったし。
なにより友達にそう言って背中を押してもらえたから、あくまで「お礼」として、チョコを渡そうって決めたんだ。



