「一緒にがんばろ? 応援してるから」

 ドキンドキンと自分の鼓動だけが耳にうるさく響いて、涼介くんの反応がわからない。

 そっと顔を上げたら、彼と目が合い、彼がかすかに微笑んだ。

「ありがとうございます。もう大丈夫です」
「ホントですか?」

 あまりそうは思えないんだけどな……。

「はい。情けないところを見せてすみません」

 涼介くんが言って体を起こそうとするので、私は腕を解いた。

「そんなことないです」
「あの……」

 涼介くんが顔を伏せ、すぐに上げてしかめた顔で言う。

「なかったことにしてもらえませんか?」
「え?」

 彼の言葉の意味がわからなくてじっと彼を見ると、ふっと視線を逸らされた。

「俺のワガママです。感想を聞かせてくれてありがとうございました。邪魔してすみませんでした」