恋の後味はとびきり甘く

 私の言葉に涼介くんが首を振る。

「忘れるわけないじゃないですか。本当はすぐに会いに行きたかったけど、飛行機が遅れて到着がぎりぎりになってしまったから、昨日は会いに来られなくて……。実演会場で鈴音さんを見つけたときは、うれしくて飛び上がりそうだった。でも、日本での初めての仕事だったから、平静を保つのに必死だったんですよ。それなのに、終わったら鈴音さんの姿がないから……今日、会いに来るのにものすごく勇気がいりました」

 涼介くんの言葉を聞いているうちに、熱いものが込み上げてきて、頬を涙が伝った。

「でも、会いに来てくれてよかった。ホントによかった……」

 涼介くんの手がそっと頬に触れて私の涙をぬぐった。七年前と変わらない、繊細で長い指先。

「『忘れて』なんて言ったけど、私、今でも、涼介くんのことが好きです」
「俺もです。忘れなければ、と思って必死で勉強と仕事に打ち込んだけど、忘れられなかった。必死で打ち込んだから、今こうしてここに来られたんです」

 涼介くんが両手で私の頬を包み込み、私は彼の手にそっと手を重ねた。

「ヤバイ。気持ちが爆発しそう。抱きしめてもいいですか?」