それから二ヵ月が経った水曜日。もう十二月上旬で外は寒いけど、部屋の中は暖房で、私の心は涼介くんのおかげで、ぽかぽかとあったかい。

 私はキャラメルの甘い香りのする紅茶を飲みながら、ソファの隣に座っている涼介くんを見た。目が合って、彼がにっこり笑って言う。

「紅茶とチョコレートって意外と合うんですね」

 涼介くんがティーカップをソーサーに戻し、ローテーブルの上に置いた。

「でしょ? 紅茶専門店の咲恵さんとコラボしたんです」

 私はナッツ入りのチョコレートを手にとって、包装紙を剥がした。

「キャラメルハニーティーは咲恵さんの店でもとても人気なんですって」
「香りがいいですね。チョコレートの風味が増すし、予想外の一体感にびっくりしました」

 涼介くんが言って、私の手の中のチョコレートを右手でつまんだ。

「あ、これならまだいっぱいありますよ」

 ローテーブルの上のチョコレートの箱に手を伸ばそうとしたら、その手を彼が左手で掴んだ。

「違います。一緒に食べるんです」