「座っていて」


私の荷物をソファの横に置き
社長はキッチンへと入っていった

社長は手際良く棚からマグカップを出している

……っ、まさかコーヒー?
社長がコーヒーを淹れる?


『社長、私がやります!』


ソファから立ち上がれば断られた


「いいの。それよりさ、これから一緒に住むんだからルールを決めよう」


マグカップを二つ持ち
私へ一つ渡してくれた


社長のマンションへ来る前に
私は社長に連れられて、社長の知り合いだという個人病院へやってきた



「何も話さなくていいから」



社長が知り合いだという先生は
ふんわりとした緩やかな女性らしい髪型で、雰囲気も柔らかい女医さん

どうやら、さっき電話していた相手らしく、事情を聴いているようだ

大事な部分は隠すけど
証拠として必要だから…と
数枚、写真を撮られ触診をされた