「は、離してください。私、会場に戻らないと」
「えーしょうがないなぁ。」
あれだけしつこかった彼が、今になってなぜか呆気なく引いてくれて
「へっ・・・」
離された手に拍子抜け
「どうしたの?行くんでしょ?」
「え、は、はいっ。・・・では」
結構しつこい人だったようにも感じられたのに
・・・どうしていきなり離してもらえたんだろう・・・
腑に落ちないモヤモヤした気持ちのまま、兎に角会場へと足を進めた
重たい扉を開け、静かーに会場へ入ると
シーンとした雰囲気の中、演壇にはゴージャスなおじ様がスピーチをしていて
その斜め後ろに綾斗くんが立っていた
やっぱり・・・さっきの拍手が始まりの時だったんだっ
遅かったかぁ・・・と軽くショックを受けながらも壁沿いに立ち
おじ様のスピーチを聞きながら綾斗くんを眺めた

