翌朝、両親の悲鳴により
女の子は起きたのだ。

何事だと思い、悲鳴を上げた場所
玄関へと急いで向かった。


女の子は驚いた。

いつもの外の景色ではなく、真っ黒の世界にでも包まれたかのような景色であった。


よくみると、それはカラスであった。
数は数百羽に近い。


恐怖のあまり、女の子は怯え、その場で座り込み震えた。


(わたし、何かしたのかな…。)


カラスがいる事への恐怖と、何したかわからない恐怖が合体し、ここにいられなくなったのだが。


女の子は突如思い出したのだ。

(もしかして、昨日の……)


心当たりはあった。
だけど、女の子は助けただけ。

わけが分からないまま女の子は
意を決してカラス達の所へと向かった。


カラス達は女の子を見た瞬間
一斉に鳴き始めた。

女の子は思った。
これから、何をされるか分からない恐怖とカラス達が怒ってると思う恐怖に。

ただ、この状況が続ければ
近所に迷惑をかけ、更に親にも迷惑がかかる。早くこの場で終わらせよう。


「あ、あのう…」


カラス達は更に大きく鳴き始めた。


女の子は、恐怖で声が震えてるが
勇気を振り絞り、そして

「カラスさん…!!ごめんなさ…」



と、その時だった。

カラス達は真上へと飛び立ったのだ。
これから何が始まるか分からない恐怖へと包まれると思ったが、そうではなかった。







真上にいるカラス達の方から
綺麗な星屑、結晶が散りばめられてきたのだ。

そして、いつの間にか真っ黒の世界が
綺麗な透明に近い色の景色になり、
散りばめられてある景色と綺麗に一致して、生きてる中でまだ見たこともない景色へとなったのだ。


「き、綺麗……」


女の子はずっと、その場でこの景色を見ていた。


すると、カラス1羽が女の子の方へと来たのだ。

「あ、あの時の!!」

それは、昨日助けたカラスだ。
証拠は足に巻いてある女の子のハンカチだ。


カラスは女の子の手をじっと見ていたのだ。

「え、手?」

女の子は手を出すと、カラスが女の子の手に何かを渡したのだ。

女の子は手の中にある物を見て、微笑んだ。


それは、透明に近い、綺麗な星屑や綺麗な結晶が散りばめられてあるビー玉であった。

おそらく、これはカラスの宝物だと思った。



女の子はカラスに向かって

「ありがとうーーー!!!!!」


と、大きく叫んだ。





そして、怪我してるカラスが

(助けてくれて、ありがとうね。)



と、幻聴でも聞いたのか…
そう聞こえたのだ。


女の子はビックリして、辺りを見たのだが、誰もいない。

カラス達の方へと見ると
怪我をしてるカラスがニコッと微笑んでるように見えた。