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急いで向かったものの、結局店についたのは、約束の七時をとうに過ぎ、八時前になっていた。

「あー、道が混んでて遅くなった、いやこれはダメだ。ガソリンいれてたら、、これもダメだ。」

まいったな……なつきおこってるなこりゃ。
いくつか、問われるだろう言い訳を考えながら店の扉を開ける。


カランッ♪


「すまんなつき、遅くなった!」

ぱん!パパぱん!!!ぱん!!!


「……は?」


店にはいったとたん、一斉に店中からクラッカーの音が鳴り響き、俺の頭には大量なクラッカーのリボンが乗っかってきた。

「春樹くん!!!」

何事かと、店の中から俺を呼ぶ声の持ち主を見る。

なつきは、店の真ん中に立っている。

なつきが、立って!と叫ぶと同時に

店の店員やらそこにいたお客やらが立ち上がった。

そして、なつきが、せーのっ!という。


「「「 春樹君誕生日おめでとう!! 」」」


店にいる全員が、声を揃えていった。


「あ……。」

そうだわ、俺今日誕生日……。だから、久々に夜飯誘ってきたのか……なるほど……
あいつから誘ってくるなんて珍しいとは思ったが……

はぁ、嬉しすぎてにやけるなこれ。



すると、満足そうに、なつきが俺に近寄ってくる。


「春樹君!お誕生日おめでとう!」

そう、嬉しそうに微笑むなつきの頭の上には先程のクラッカーのリボンがのっかっていた。

こうゆうところ、お茶目なのかわざとなのか……まったく。

とりあえず、なつきの頭の上のリボンはそのままにしておき

俺は、店全体に聞こえるようにおおきな声で言う。

「ありがとう。なんだか、この歳でここまで盛大に祝ってもらえるとは全く思ってなかったから、恥ずかしさもあるけど、、やっぱり嬉しいな。皆、ありがとう!!」


とたん、店中で、うおー!!!っと叫ぶ声が聞こえ、周りの人は、いそいそとケーキの用意を始めていた。


うん、誰も見てない。



……今がチャンスかな……。


「なつき。」


「ん?」


なつきの顔をみる。いつもより、少しだけチークやら口紅やら濃くしているところも、はりきって俺のために施してくれたのかと考えるだけで、胸が熱くなる。


そっと、頬を撫でた。