次の日になっても熱は下がらず、あたしは丸二日間寝込んでしまった。

39℃弱の熱にうなされながらも考えるのは、やっぱりカイ先輩のこと。


あんなに弱い先輩の姿を見たのは――初めてだった。

怖い夢に怯える子どものような、不安げな顔。


普段あたしに笑いかける先輩からは、想像もつかないような表情だった。



そしてなにより――先輩の、カノジョさんへの愛情の深さを、思い知らされたようだった。

先輩をあんなに苦しめるサユリさんが、許せない。

でも、
先輩をあんなに苦しめることができるサユリさんが……羨ましくてならない。



その大きな愛情を――ほんの少しでいいから、あたしに注いではくれないだろうか。

“代わり”でも、いいから……。





「――ばかだ、あたし」


熱のせいなのか、自分が情けないからか、なみだが溢れてくる。

こんな苦しい想い、もう捨ててしまいたい。