それからカイ先輩は、これまでのことをすべて話してくれた。



あたしとケンカをしたあの日のあと、もう一度だけ、サユリさんに会ったという。

そこできちんと話し合いをして、もうお互い二度と会わないという約束をした。


「ちゃんと……きっちり終らせたよ」


カイ先輩は、泣いてぐちゃぐちゃになったあたしの顔を笑いながら、優しく頭をなでてくれた。

もうなにも心配しなくていいから、と言われ、あたしはどうしてよいのかわからなかった。


「どうして……あたしなんかを……」


するとカイ先輩はあたしの頭を小さく叩いて、またその腕に力を込めた。



「おれは薫が好きなんだよ」




あたしは戸惑いながら、彼の背中に手をまわした。

まるで子どものようにしがみついて、あたしは泣きじゃくった。








それがようやく落ち着いたとき、

カイ先輩は静かにあたしの頬を持ち上げて、キスをくれた。



そのキスで、夢から醒めて――やっぱりあたしには、この人しかいないんだ、と、心の底から思った。