景色は色を失い、街に輝くクリスマスのイルミネーションさえも、あたしの目には映らなくなった。


あれから、期末テストの最終日の今日まで、どうやって過ごしてきたのか――わからない。

白黒の世界に、ひとりぽつんとたたずむあたしは、きっと廃人のようになっていたに違いない。


テストの答案に、名前を書けたかさえ怪しかった。

もちろん、解答なんて、とてもじゃないけど期待できるものではない。


深い闇の中を彷徨い、自分を責めて、後悔して――チャイムの音で、ようやく現実に引き戻される。

毎日、それの繰り返しだった。





テストの最終日は学校も午前中だけで終わり、友達からのランチの誘いも断って、あたしはひとりで教室を出た。

正門からの緩い坂道をくだりながら、あたしは晴れた空をぼんやりと見上げていた。



“最後にはきっと、いいことが待ってるから”



そのとき、森川さんの言葉が、何故か耳の中で響いた。

ふと、目線を下ろした先に――よく見覚えのある車が、停まっていることに気がついた。