『部室に行けば、まあ誰かいるでしょ。テスト勉強はみんなに教えてもらうといいよ』


森川さんはそんなメールを残したきり、昨日から全く連絡が取れなくなってしまった。

来週一週間のうちに、レポート提出の期限が、8個も重なっていると言っていた。


「腹減った〜!おバカな生徒を持つと大変だわ」


「いや……あたし、国語と英語と社会はバッチリなんですよ!ただ……」


「理数系がダメってか」


「――はい……」


しょんぼりしていると、カイ先輩が、自宅から持ってきたというピザのチラシを取り出した。


「どれ食う?」


「あ……これがいいです!」


「じゃあおれ、こっち頼むから半分コしようぜ」


屈託ない笑顔で、注文の電話をはじめたカイ先輩を――あたしは複雑な思いで見つめていた。


森川さんのいないところで、こんなふうにカイ先輩とふたりきりでいる。

何も考えなければいいのに、いらぬことを思ってしまう自分に――あたしはつくづく嫌気がさしていた。