結衣がそう言っておかしそうに笑った。



「昔から大好きだったんだよね。

裕翔のことが好きな女の子なんて山ほどいたから、その中の一番になりたくて必死だったな」



「………………」



「私から告白して、最初は断られたけどその後もしつこく言って

結果的に裕翔が折れて付き合うことになったんだよね。

でも結局、裕翔は私のこと好きになってくれなかった」



話している間、ずっと笑顔だった結衣の顔が一瞬くしゃっと歪んだ。



「社会人になって再会して、やっと裕翔が私のこと好きになってくれるかもって思ってたけど。

結局、大橋さんに取られちゃうのかな」



そう言った結衣の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。




俺………自分でも気づかないうちに、昔からこいつのこと傷つけてたんかな。



涙に濡れる結衣の横顔を見つめながら、俺はそう思った。