突如、誰もいないはずの教室に声が響き渡った。



片手をどけ、声がした教室の入り口に目を向けると、そこにいたのは………




「戸山 大貴………」




思わずフルネームが口をついてしまった。




────あいつ、昨日ショッピングモールで大橋 さくらと映画観てたんすよ。



お前、さくらと付き合ってんの?



聞きたいけど、そんなこと聞けるはずもない。



戸山は挑戦的な目で俺を見ると、そのまま一直線に俺の方へ歩いてきた。



え、なんだよ。



なんかめっちゃ殺気立ってんだけど。