そう思っていたのに。 現れてくれた。 目の前で頬杖をつきながら景色を見ている戸山くんが。 必死になって私を探してくれた戸山くんが。 「戸山くん」 小さくそう呼びかけると、戸山くんが目だけをこっちに向けた。 「ありがとう」と言う代わりに、 「…………教室に戻らなくていいの?私なら、もう大丈夫だよ」 そう言ってみる。