そうすると自制がまたきかなくなって


「抱きしめても良い?」

「無理」

「…」


伸ばした両腕は押し返された。


触る許可を取ろうとした途端シャッターは無情におろされる。


もうどうしろと?


彼女の攻略の仕方が分からない。


自棄になった俺は無理だとわかっているのにまた


「ね、キスしたい」

「嫌」

「…」


近づけた顔はペチッと軽くビンタされた


…いくら俺でも、なあ傷つくだろ、さすがにさ。


彼女は俺が嫌いなんじゃねえの。


ずっと頭の片隅にあった疑問が浮かび上がってくる。


一目惚れしたのは俺、アタックしたのも、告白したのも、初めて手をつなげたときも、抱きしめたのも。


彼女から、は一度もなかった。



―――嫌なとこ、気づいちゃったな。