【短】もうチョコはいらない。



「...理央、理央!」

何度も理央の名前を呼んだ。そしてやっと、理央は足を止めた。

誰もいない昇降口。
漂う冷たい静寂が、肌をピリピリさせた。

「さっきの、何?」

私の腕をつかむ理央の手。足は止めてくれたけど、手は放してくれない。

ねぇ、理央。
今日の理央、変だよ。

「私からのチョコは、いらないんじゃないの?」

私がそう聞くと、理央はゆっくりと顔をこちらに向けた。