「おはよう、境本」

部屋の中は真っ白で
力業で演出された清潔感と
消毒の匂いに
拒絶されてるような気がしてくる。

境本の入院している病室だ。

境本が気絶して
普段よりずっと長い時間
覚醒しなくて、
体がだんだん冷えていくから、
自殺未遂の直後なこともあって
救急車をよんでしまった。
どうすればいいか解らず
不安なまま病院につくと
搬送されたのが
境本のかかりつけだったらしく
速やかな処置と
念のための入院に落ち着いた。

しばらくして
境本の母親がきて
俺は帰されてしまったが、
本日お見舞い二回目である。

「プリンあるよ」

「食べる」

来る途中にケーキやさんで
買ってきた二人分のプリンを
スプーンと一緒に用意して境本と
食べ始める。

「これ、お詫びのつもりなの?2日連続でプリンって芸がないよ」

「言い過ぎたなぁとは反省してるんだよ。でもプリン好きだよね?」