ならば、長年自分達を飼っていた『組織』の正体とは、三代目鬼首會。

日本最大の暴力団だったという事か。

亮二達はヤクザ子飼いの殺し屋として、今まで働いていたという事か。

「…チンケなヤクザの下で殺しをやってたのがショックか?」

亮二の心を見透かしたように、鬼首が言う。

いまや他人に思考を読まれてしまうほどに、亮二の心中は明け透けで不安定になっていた。

「だがな」

鬼首は言う。

「チンケなヤクザの下で働く殺し屋でも、お前らは東アジア最大の秘密結社を壊滅させ、政界の黒幕子飼いの傭兵集団を壊滅させ、現役総理大臣の暗殺を完遂するまでになった」

それは最早、成り上がりたいが為に刑務所上等で敵対する組の組長を殺しに行く鉄砲玉程度のヒットマンとは訳が違う。

アンダーグラウンドで、政権を左右するほどの勢力に成長したという事なのだ。

この日本の舵取りを担う政界をも揺るがしかねない『組織』。

それがまさか、この国最大の悪である暴力団だったとは。