すっかり静かになった廊下をとぼとぼと歩く。




渡すはずだったプレゼントは、人混みから少し離れたところに落ちていた。




床に落ちていたからもちろんクッキーは割れてる。




でも、粉々にならなかっただけマシか…………。




「結局、渡せなかったな…………」




不器用なりに、頑張って作ったのに………。




思わず泣きそうになるのをこらえていると、いつの間にか教室に着いていた。




さっきまで何人か男子がいたのに、もう誰も残っていない。




ぼーっと外を眺めると、自分がみじめになってきた。




「よし、もう帰ろう!」




無理に明るい声を出しながら帰る準備をする。




…………このプレゼント、もういらないよね。




「…………捨てちゃおう………」




教室のゴミ箱に向かって、プレゼントを投げようとしたときだった。




「それ、捨てちまうの?」




俊介くんとは違う、低くて甘い声が聞こえた。