な、何で引きとめるの、この子は!?


せっかく人が空気を読んで消えようとしてるのに!


「…の、野上くん……?」


「…言っただろ、協力してやるって。だから安心しろ」


俊介くんに聞こえないよう、耳元でささやかれた。


きょ、距離が近いっ……!


私があわてて離れるのと同時に、野上くんは俊介くんに話しはじめる。


「俊介にはまだ言ってなかったな。2年5組の篠宮葉月。この前知り合ったばっかりなんだ」


「そうなんだ。僕は佐川俊介って言うんだ!これからよろしくね!ん~と、篠宮さん?」


「葉月でいいよ」


そう言ったのは私……ではなく野上くん。


え?な、何で…?


名前で呼んでもらえるのは嬉しいけど、なんで野上くんが…。