だから、俺にしろよ。~運命の人と恋する方法~

殴られる覚悟をして目を閉じたのに、いつまで経っても衝撃はこない。


代わりに――彼は私の肩に両手を置き、真剣な顔でこちらを見ていた。


「……………あ、あの………」


恥ずかしいので、とりあえず離して下さい。


私がそう言うのを、野上くんの言葉がさえぎった。


「誰にやられた?」


「…………え」


「誰にやられたのかって、聞いてんの!」


それって、クッキーを割った人のこと?


「じ……自分がうっかり落としました!」


本当は女の子に押されたんだけど、嘘をついた。


だって………そんなこと言ったら、余計みじめになるもん。


これ以上、自分の情けなさを自覚したくない。