「困ってたみたいだったからなー」
りく君は、すました顔で応えた。
相変わらず、素っ気ないな……。
「それより、ごめん……。俺のせいで、こんな所から入るはめになって」
りく君は、さっき塀を登る時に投げた、鞄を拾いながら、暗い顔をさせた。
「そうだよ!いい迷惑なんだから。りく君だって、穂乃花ちゃんにどう言い訳するのよ」
りく君の前だと、また、可愛くない言葉がでてしまう。
「穂乃花は、関係ない……」
りく君は、ボソッと呟いた時だった。
「りくの奴、ずっと学校、来てないけど、逃げてないで、観念して本当のこと話せばいいのにな」
男子が2、3人、りく君の悪口?を言いながら、近づいてきた。
「逃げてるってー!何、言って……」
男子に向かって叫ぼうとした時、りく君に口を押さえられた。
「しっ!ほっとけよ」
「で、でも……」
「あんたは、ここにいろよー」
そう言って、りく君は男子の方へ、歩いて行った。
「り、りくー。来てたのか!!」
向こうで、男子達の驚いた声が聞こえてきた。
りく君、この前は、名前で呼んでくれたのに……。
今日は、呼んでくれなかったなー。
