フィンセはナンバー1


「困ってたみたいだったからなー」

 りく君は、すました顔で応えた。


 相変わらず、素っ気ないな……。


「それより、ごめん……。俺のせいで、こんな所から入るはめになって」

 りく君は、さっき塀を登る時に投げた、鞄を拾いながら、暗い顔をさせた。

「そうだよ!いい迷惑なんだから。りく君だって、穂乃花ちゃんにどう言い訳するのよ」

 りく君の前だと、また、可愛くない言葉がでてしまう。

「穂乃花は、関係ない……」

 りく君は、ボソッと呟いた時だった。

「りくの奴、ずっと学校、来てないけど、逃げてないで、観念して本当のこと話せばいいのにな」

 男子が2、3人、りく君の悪口?を言いながら、近づいてきた。


「逃げてるってー!何、言って……」

 男子に向かって叫ぼうとした時、りく君に口を押さえられた。

「しっ!ほっとけよ」

「で、でも……」

「あんたは、ここにいろよー」
 そう言って、りく君は男子の方へ、歩いて行った。


「り、りくー。来てたのか!!」

 向こうで、男子達の驚いた声が聞こえてきた。


 りく君、この前は、名前で呼んでくれたのに……。
今日は、呼んでくれなかったなー。