「ちょっと、直也君とちゃんと話したの?」
未来が、心配そうな顔で席を立った。
「話したのは、話したんだけど……」
「南君だって、混乱しているのかも、知れないしねー」
未来は、溜め息ついた。
「……」
それは、わかってるー。
「じゃ、あたしも帰ろうかな」
未来が、教室の出口の方へ歩き出した。
「み、未来。一緒に帰らない?」
あたしは、未来を慌てて止める。
「でも、正門にマスコミがいたんじゃ、まずいんじゃないの?」
「そうなんだけど……。独りで帰るよりはいいかなと思って」
「うーん。変装できるれば、いいんだけどねー」
未来は少し考えた後、ポンと手を叩いた。
「そうだ!演劇部の子にウイッグ借りれば、何とかなるかもよ」
そう言って、未来は演劇部の子から、ウイッグを借りてきてくれた。
「本当にこれで、大丈夫なのかな……?」
いつもの自分の髪より、長めのウイッグをつけながら言った。
「これなら、きっと大丈夫だよ」
未来は、自信満々な顔をした。
「未来、ありがとうー」
「でも、このウイッグ、明日、演劇部で使うみたいだから、返さないといけないんだけどね」
