フィンセはナンバー1


「ちょっと、直也君とちゃんと話したの?」

 未来が、心配そうな顔で席を立った。

「話したのは、話したんだけど……」

「南君だって、混乱しているのかも、知れないしねー」

 未来は、溜め息ついた。

「……」


 それは、わかってるー。


「じゃ、あたしも帰ろうかな」

 未来が、教室の出口の方へ歩き出した。

「み、未来。一緒に帰らない?」

 あたしは、未来を慌てて止める。

「でも、正門にマスコミがいたんじゃ、まずいんじゃないの?」

「そうなんだけど……。独りで帰るよりはいいかなと思って」

「うーん。変装できるれば、いいんだけどねー」

 未来は少し考えた後、ポンと手を叩いた。

「そうだ!演劇部の子にウイッグ借りれば、何とかなるかもよ」

 そう言って、未来は演劇部の子から、ウイッグを借りてきてくれた。



「本当にこれで、大丈夫なのかな……?」

 いつもの自分の髪より、長めのウイッグをつけながら言った。

「これなら、きっと大丈夫だよ」

 未来は、自信満々な顔をした。

「未来、ありがとうー」

「でも、このウイッグ、明日、演劇部で使うみたいだから、返さないといけないんだけどね」