フィンセはナンバー1

「そんなこと、あるわけないよ!あたしが、フィアンセだなんてありえないって、りく君が言ったんだよ?」

 りく君が小さい頃から、あたしの写真を見せていたから、婚約は了解済みだと思っていたって、りく君のお父さんが言ってことを思い出す。


「もう、この話はやめよう……」

 直也君は、深い溜め息をつくいた。

「……直也君。あたし……」

 何て言ったらいいのかわからず、直也君の袖を掴んだ。

 でも、直也君はパッとあたしの手を振りほどいた。

「ごめん……。少し頭の中、整理させて……」

 直也君は、背を向けたまま、教室へ戻って行った。



 放課後ー。

 ガヤガヤ……。

 いつもと変わらないはずなのに、外がやたらと賑やかだった。


「ねえ!正門の所に、マスコミが来てるよ」


 クラスの子達が、騒いでいるのが聞こえてきた。


 きっと、記事のことで、マスコミが来たのかもー。

 これじゃ、帰れないよー。


 あたしが、困っていると、隣の席の直也君が立ち上がった。
「あ、な……直也君。帰るの?」

 屋上で話したきり、全然、会話していない。

「ああー」

 直也君は目も合わせず、教室を出て行った。