フィンセはナンバー1


 腕時計を見ると、教室を出てから、20分は経っていた。

「大丈夫か?何か変だよ」

 直也君が、あたしの顔を覗き込む。

「そ、そんなことないよー。それより、早く委員会に行こう!終わっちゃうよ」

 あたしは、慌てて直也君を急かした。


 いちいち、りく君に動揺してたら、駄目だよね……。


 あたしは、唇をキュッと噛み締めた。




 文化祭の準備も順調に進み、文化祭まで、あと2週間ー。


「見てー!琴音」

 未来が、りく君専用の作りたての洋服を見せた。


 見ると、金森さんを思わせるような、執事服だった。

「上手にできたじゃない!」

 裁縫が得意なだけあって、綺麗な出来上がりだった。

「良かったー!りくのクラスは、メイド喫茶やるみたいなんだけど、男子がメイド服を着るみたいだしー。だから、交代でこっちに来た時は、りくにかっこ良く着てもらいたくて」


 そう言えば、委員会の集まりで、りく君のクラスの実行委員が、そんなことを言っていた。

 でも、りく君のメイド服も見たい気がする。

「それで、一足先に試着してもらおうと思うんだけど琴音、一緒に来てくれない?」

 未来は、両手を合わせた。