フィンセはナンバー1


「あ、次の授業の準備しなきゃ!」

 未来は、あたし達に気を使っているのか、自分の席へ戻った。

「……直也君、ごめんねー。りく君に逢わないって言ったのに、約束を破ってー」

 あたしは、いいずらそうに、少し低めの声で言った。

「俺も知らないで、ついOKしちゃったんだし、仕方がないよ」

「……」

「そんなに、落ち込むなよ」

 直也君は、あたしの頭に、ポンと手を置いた。


『あいつと別れろよ』

 さっき、りく君に言われた言葉を思い出して、トクンと心臓の鼓動が波打つ。

 りく君は、忘れろって言ったけど、あたしの脳裏には、りく君の言葉がまだ、残っている。

「どうかしたのか?」

 直也君が、あたしの様子に気がついて、あたしを見た。

「な、何が……?」

「何だか、変だからー。もしかして、りくと何かあったのか?」

 急に、直也君の表情が暗くなる。

「や、やだなぁー!何もないってばー。未来と同じこと言わないで」


 直也君ー。嘘ついて、ごめんね……。


 2、3日経ったある日のこと。

 テレビで新しいチョコのCMでは、りく君と穂乃花ちゃんが共演していた。

「一粒食べれば、甘い口どけ……」