フィンセはナンバー1


 あたしは、無我夢中で、りく君から離れようとした。

「あいつと、別れろよ……」

「えっ……?」

 りく君の言葉に、あたしは呆然としてしまった。


 どうして、そんなこと言うの……?


 りく君は、はっとして、あたしから離れた。

「悪いー。今の忘れてくれ……」

 あたしの耳元で言うと、りく君は、さっさと、家庭科室を出て行ってしまった。


 あたしは、壁にへなへなと、寄りかかった。

 何かー、最近のりく君。変だよ……。

 どうして、直也君と別れろなんて言うのー?

 あたしが、教室へ戻ると、未来が先に戻っていた。

「琴音、遅かったね」

「ごめーん!トイレに寄ってたからー」

 あたしは、わざと明るく言った。

「遅いから、りく君と何か、あったのかと思ったー」

 未来は、ホッとしながら、あたしを見た。


「あ、あはは……!まっさかぁー」

 あたしは、無理に作り笑いをする。

「琴音ー。りくの所に行ってたんだって……?」

 直也君が、ムスッとした顔でこっちに歩いて来た。

「ごめんー。さっき、直也君に聞かれて言っちゃったんだー」

 未来が、両手を合わせた。

「そうなんだ……。」