フィンセはナンバー1


 これ以上、りく君に逢ったら、直也君に嘘ついたことになるよね……。


 あたしは、直也君の方をチラッと見た。

 直也君はみんなに、いろいろと仕事を頼まれて忙しそうにしていた。

「南君ー!琴音のこと、借りてくねー!!」

 直也君のことを気にしていたら、未来が直也君に向かって叫んだ。

「ああー。いいけど」

 直也君は、すぐに返事を返した。

「いいって!ほら、早く」

 未来は、あたしを急かした。
「ちょ、ちょっと、未来ー!」
 あたしは、未来に急かされて、教室を出た。

「何、南君のこと気にしてるのよ」

 廊下へ出た後、未来があたしの背中をパシッと叩いた。

「ちょっと……。りく君と逢わないように言われてて……」

「何?りくとなんかあったの?」

 未来は、興味本位で聞いてきた。

「や、やだなー。何もないってばぁー」

「ふーん?まあ、いいけどー。南君みたいな彼氏、めったにいないんだから、大事にしなよー」

「……うん。わかってる」

 あたしは、コクリと頷いた。


 2年生のりく君のクラスに行ったけど、今日も教室に見渡らなかった。

「あのー。りく先輩、何処にいるか知りませんか?」