フィンセはナンバー1

「琴音ー。手当てしてくれて、サンキュー」

「……!!」

 りく君の声に、あたしと直也君は振り向いた。


 珍しく、素直……。じゃなくて、今、琴音って名前で呼んだよね……!?


 あたしの胸がキュンとする。

「り、りく君ー。お大事に!」


 あたしは、笑顔で返すと、保健室を出た。



「何だよ、あいつー。琴音のこと呼び捨てにして……」

 直也君は、キュッと唇を噛み締めた。

「ほ……ほら、みよじ知らないから」

 あたしは、慌てて誤魔化した。

「やっぱり、あいつには、かなわないのかなー」


 直也君が、そんなことを呟いたのも知らずに、りく君に名前で呼んでもらえたことが嬉しくて、気づかないでいた。


「琴音ー!大丈夫?」

 教室へ戻ると、未来が心配そうに、駆けつけてきた。

「うん。もう、平気」

 あたしは、ガッツポーズをしてみせた。

「南君ってば、琴音のことが心配で、気がきじゃないみたいだったよ」

 未来が、ニヤニヤしながら、直也君の方をチラッと見た。

「……」

 そう言われると、何だかキュンとしてしまう。

 それなのに、りく君のこと忘れられないなんて、どうしたらいいのー?