フィンセはナンバー1


 視線の先には、直也君が、昇降口に入って来たところだった。

 直也君は、あたし達に気がつくと、こっちに歩いて来た。


「おはよー。南君」

 未来が、元気よく挨拶した。

「おはよー」

 南君は、笑顔で返した。

「あたし、先に教室に行ってるね」

 未来は、あたし達に気を使って、さっさと教室へ行ってしまった。


「目の下、熊ができてるぞー。眠れたのか?」

 直也君が、あたしの顔を覗き込んだ。


 昨夜は、りく君のことが頭から離れなくて、眠れないまま朝になっちゃったんだった……。

「大丈夫か?」

「平気平気」

 あたしは、無理に笑顔を作った。



「りく君ー!昨日の撮影見たよー!!」

 昇降口から校舎への渡り廊下では、りく君を囲んで、女子達が、昨日のこと話題にしていた。


「ありがとう。見に来てくれたんだ?」

 りく君は、笑顔で、みんなに笑いかけていた。

「でも、穂乃花が一緒じゃないほうが、よかったのにー」

 独りの子が、不満を漏らすと、周りの子も次々と言い出した。

「急きょ、飛び入り参加だから。仕方がないよ」

「本当のところ、どうなの?本当に、穂乃花と付き合ってるの?」