フィンセはナンバー1

 りく君にキスされた時、写真を撮られていたなんてー。



「遅かったな」

 正門へ行くと、直也君が待ちくたびれた顔で、待っていた。

「ご、ごめんね……。先生に捕まって、仕事を頼まれちゃってー」

 あたしは、慌てて嘘をついてしまった。

「休日なのに、先生いたんだ?」

「う、うんー。何人かは……」

 どうしようー。何て、言ったらいいのかこれ以上、言葉が見つからない……。

 でも、そんな気持ちを知ってか知らぬか、直也君があたしの手を掴んだ。

「帰ろうか」

「う、うん……」


 直也君ー。嘘ついて、ごめんねー。


 そっと、心の中で謝ることしかできなかった。




「琴音、おはよー」

 翌朝、昇降口で、未来と挨拶を交わす。

「おはよー。未来」

「昨日、見たよー。りくの撮影現場で南君といちゃついてるの」

 未来が、ニヤニヤしながらあたしを見た。

「や、やだな。未来まで何言ってるの」


 あたしは、苦笑いをする。


「琴音はいいなー。南君みたいな彼氏がいて」

「……」

 あたしには、もったいないくらいの彼氏だよー。


「ほら、噂をすればー」

 未来がふと、視線を滑らせる。