フィンセはナンバー1


「おじさんに、穂乃花ちゃんをフィアンセにしてくれるように、電話してあげようか?」


 どうして、あたしー。りく君の前だと、素直になれないんだろうー。


 震える手で、バックから携帯を出そうとした時、急にりく君が、グイッとあたしを引き寄せると、キスをした。


「……!!」


 あたしは、何が起こったのか、状況がつかめずにいた。


「今のは、口封じだから……」

 りく君は、あたしから離れると、ボソッと言った。

「……」

 あたしは、ただ頭の中が真っ白になる。

 言葉も出ない状態で、りく君を見つめた。


「やっと、マスコミも落ち着いてきたのにー。父さんに穂乃花のことを言って、また、どこから漏れるかわからないんだー。他人が余計なおせっかいするのは、やめろよ……」


 他人……。

 そうだよね……。婚約解消したんだもん。あたり前かー。

 それに、今のキスだって、穂乃花ちゃんを守るため……。


「お……おせっかいで悪かったわね……!?それに、あたしの、ファーストキッス返してよ!」


 あたしは、無我夢中で、音楽室を飛び出した。


 この時は、まだ知らなかったー。