「おじさんに、穂乃花ちゃんをフィアンセにしてくれるように、電話してあげようか?」
どうして、あたしー。りく君の前だと、素直になれないんだろうー。
震える手で、バックから携帯を出そうとした時、急にりく君が、グイッとあたしを引き寄せると、キスをした。
「……!!」
あたしは、何が起こったのか、状況がつかめずにいた。
「今のは、口封じだから……」
りく君は、あたしから離れると、ボソッと言った。
「……」
あたしは、ただ頭の中が真っ白になる。
言葉も出ない状態で、りく君を見つめた。
「やっと、マスコミも落ち着いてきたのにー。父さんに穂乃花のことを言って、また、どこから漏れるかわからないんだー。他人が余計なおせっかいするのは、やめろよ……」
他人……。
そうだよね……。婚約解消したんだもん。あたり前かー。
それに、今のキスだって、穂乃花ちゃんを守るため……。
「お……おせっかいで悪かったわね……!?それに、あたしの、ファーストキッス返してよ!」
あたしは、無我夢中で、音楽室を飛び出した。
この時は、まだ知らなかったー。
