「今日、来てたんだな」
何分か経ってから、りく君が、口を開いた。
「あ、うん……。直也君と一緒に」
「知ってる。撮影の時、いちゃついているから、すぐ、わかったし」
「べ、別に。いちゃついてなんか……」
りく君が、穂乃花ちゃんと仲良さそうにしているから、落ち込んでいるあたしを、慰めてくれてただけなのにー。
でも、そんなことは、言ったら駄目だよね?
「りく君こそ、穂乃花ちゃんと仲が良いよねぇー。いっそのこと、穂乃花ちゃんをフィアンセにしたら?」
本当は、こんなこと思っていないのに、口が勝手に開いてしまう。
「本当に、そんなこと思ってるのか……?」
りく君の眉が、ピックっと動いた。
「思ってるも何も……。前にも言ったけど、りく君にとっては、そのほうがいいから、あたしのことフィアンセだって認めないって言ったんでしょ?」
それしか、理由が思いつかない。
「それは……」
何か言おうとしたけど、りく君は、急に口ごもる。
小さい頃から、あたしの写真を見せていたから、あたしのこと、フィアンセだって認めてくれているなんて、おじさんに言われたけど、そんなの勘違いだよー。
