フィンセはナンバー1


「今日、来てたんだな」

 何分か経ってから、りく君が、口を開いた。

「あ、うん……。直也君と一緒に」

「知ってる。撮影の時、いちゃついているから、すぐ、わかったし」

「べ、別に。いちゃついてなんか……」


 りく君が、穂乃花ちゃんと仲良さそうにしているから、落ち込んでいるあたしを、慰めてくれてただけなのにー。

 でも、そんなことは、言ったら駄目だよね?

「りく君こそ、穂乃花ちゃんと仲が良いよねぇー。いっそのこと、穂乃花ちゃんをフィアンセにしたら?」

 本当は、こんなこと思っていないのに、口が勝手に開いてしまう。

「本当に、そんなこと思ってるのか……?」

 りく君の眉が、ピックっと動いた。

「思ってるも何も……。前にも言ったけど、りく君にとっては、そのほうがいいから、あたしのことフィアンセだって認めないって言ったんでしょ?」


 それしか、理由が思いつかない。


「それは……」

 何か言おうとしたけど、りく君は、急に口ごもる。


 小さい頃から、あたしの写真を見せていたから、あたしのこと、フィアンセだって認めてくれているなんて、おじさんに言われたけど、そんなの勘違いだよー。