フィンセはナンバー1


「あの2人、仲が良いよなー」

 横で、直也君が独り言のように呟いた。

「……付き合っているんだもの、仲が良いのは当たり前だよ」

 自分で言いながら、胸がチクンとする。



「そろそろ、休憩が終わりまーす」

 何分か経って、また、撮影が始まった。

「りくー!今度は、穂乃花ちゃんと腕を組んで、仲良さそうに、高校生カップルらしく歩いてみてくれるかな?」

 カメラマンが指示を出すと、代わりに穂乃花ちゃんが、応えた。

「こんな感じで、いいですかー?」

 穂乃花ちゃんは、甘えるように、りく君の腕に自分の腕を絡ませた。

 りく君の方も、まんざらじゃなさそうに、穂乃花ちゃんに笑いかけた。


 ズキン……!!


 いくら、仕事とはいえ、そんな2人の姿を見るのが辛い。

 でも、ここで逃げたら、せっかく、ついてきてくれた直也君に悪いよね……。


 そう思っていたのに、直也君は片手であたしの肩を抱くと、優しく抱きしめた。


「りくじゃなくて、俺のことだけ考えていろよ」

「直也君……」

 直也君の想いが、ひしひしと伝わってくる。

 その時、

「りく!急に表情が硬くなってるぞ。どうしたんだ?」