フィンセはナンバー1


「どうして?あたしに言えないことなのー?」

 あたしは、直也君の袖を掴んだ。


 あの日、直也君の様子が、変だったのは確かだ。


「わかったー、言うよ……」


 あたしが、必死になっているものだから、直也君は観念したようにうなだれた。


「琴音を助けたりくは、凄く取り乱していて、いつものりくとは、違っていたんだー。もし、このことを知ったら、琴音がりくのほうに、ますます気持ちが行くんじゃないかと思って、言えなかったー」

「……!!」


 りく君が、取り乱していたなんて、そんなこと想像すらつかない……。

「それに、りくも琴音のことー」

「や、やだなぁー。りく君があたしを?穂乃花ちゃんがいるのに?」


 そんなこと、有り得ないよー。


 急に、直也君が、あたしの肩を掴むと、抱き締めた。


「りくのこと好きなの知ってて、付き合い始めたのに、心が狭くて、ごめんー。明日、一緒に行こう」

「……」

 あたしは、直也君の腕の中で頷いた。





 撮影は、午後2時頃から始まった。

 直也君と待ち合わせをして、学校へ向かった。


「直也君。本当は、行きたくなかったんでしょ?ごめんね……」