「どうして?あたしに言えないことなのー?」
あたしは、直也君の袖を掴んだ。
あの日、直也君の様子が、変だったのは確かだ。
「わかったー、言うよ……」
あたしが、必死になっているものだから、直也君は観念したようにうなだれた。
「琴音を助けたりくは、凄く取り乱していて、いつものりくとは、違っていたんだー。もし、このことを知ったら、琴音がりくのほうに、ますます気持ちが行くんじゃないかと思って、言えなかったー」
「……!!」
りく君が、取り乱していたなんて、そんなこと想像すらつかない……。
「それに、りくも琴音のことー」
「や、やだなぁー。りく君があたしを?穂乃花ちゃんがいるのに?」
そんなこと、有り得ないよー。
急に、直也君が、あたしの肩を掴むと、抱き締めた。
「りくのこと好きなの知ってて、付き合い始めたのに、心が狭くて、ごめんー。明日、一緒に行こう」
「……」
あたしは、直也君の腕の中で頷いた。
撮影は、午後2時頃から始まった。
直也君と待ち合わせをして、学校へ向かった。
「直也君。本当は、行きたくなかったんでしょ?ごめんね……」
