フィンセはナンバー1


 直也君は、心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。

「な、何でもない。ちょっと、熱っぽい感じがしてボーとしてただけだから……」

 あたしは、慌てて、嘘をついた。

「大丈夫か?」

 直也君が、あたしのおでこに手をあてた。

「熱はないみたいだなー」

「だ、大丈夫。たいしたことないし……」

「なら、いいんだけど……」

「……」

 あたしは、何だか気まずくて、俯いた。



「じゃあ、また明日ー」

 家の近くまで、送ってもらって、帰ろうとした時だった。

「琴音ー」

 急に、直也君に腕を掴まれた。

「……どうしたの?」

 直也君は、黙って、顔を近づけた。


 キスされるー。


 そう思った瞬間、あたしは、無意識のうちに、顔を背けていた。


「ご、ごめん……。あ、あたし……」

 あたしは、しどろもどろに言う。

「こっちこそ、ごめんー。急に……」

「う、ううん……」

 あたしは、ブンブン首を振る。


 何だか、条件反射で拒否しちゃったけど、付き合っているんだから、したほうがよかったのかな……。



 翌日ー。

「おはよー」

 直也君に挨拶されて、あたしは気まずそうに挨拶した。