フィンセはナンバー1


「危ない!」

 あたしは、慌ててりく君を支えようとしたけど、りく君の身体の重みで、あたしまで倒れそうになった。

「ふぅー」

 間一髪、何とか壁に寄りかかて、倒れないですんだ。

 気がつくと、りく君に抱き締められているような、感じになっていた。


 あたしの心臓が壊れそうになるくらい、一段と速くなる。


 りく君は、あたしをギュッとと抱き締めた。

「りく君……?」


 りく君は、そっと、身体を離すと、顔を近づけた。


「りくー!」

 女子達の呼ぶ声が、遠くで聞こえてきた。

「悪い……」

 りく君は、あたしから顔を離すと、慌てて行ってしまった。

 りく君が行ってしまった後、あたしはその場に、へなへなと座り込んでしまった。


 今、キスしようとしてたよね……?

 穂乃花ちゃんがいるのに、どうして?

 頭の中が、真っ白になった。





「琴音、聞いてる?」

 直也君の呼びかけに、あたしは、ハッとした。

 放課後、直也君と一緒の帰り道ー。

 直也君があたしに話しかけてくれているのに、昼間のりく君が気になって、ボーとしてしまっていた。


「どうしたの?何だか変だよ……」